Nicotto Town


koshiのお部屋分家


Sospili・・・

最近は疲れ方が尋常でなく,一杯のビールと遅い夕食の後は今まで以上に床に転がって自失することが増えた。
寝起きの珈琲と甘いものが身体に染み渡る時間帯,最近はアンプの灯を入れるのももどかしく,ついついネットラジオやようつべに頼っている・・・。
・・・て,最近は本分と勝手に思い込んでいる独墺系もさながら,近代の英国系に走っている・・・。


19世紀末の英国楽壇は,失礼な言い方をすれば国際的な作曲家が皆無だった。
ドイツでワーグナーとブラームスが,ロシアでチャイコフスキーが,チェコでドヴォルザークが,そしてフランスではサン・サーンスが次々と楽曲を世に送り出している時期,英国楽壇の雄は,何と17世紀のヘンリー・パーセル(1659-95)まで遡らなくてはならない。
しかし,20世紀の声を聞く頃から,隣国フランスの印象主義の台頭と共に英楽壇の興隆が幕を開ける。
奇しくも同じ年(1934年)に亡くなった3人の作曲家,エドワード・エルガー(1857-1934),フレデリック・ディーリアス(1862-1934),グスターヴ・ホルスト(1874-1934)あたりが有名ではあるものの,ジョージ・バターワース(1885-1916),ピーター・ウォーロック(1894-1930)といった短命だった作曲家や,長命で交響曲の作曲家としても名声が高かったレイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958)やアーノルド・バックス(1883-1953)のような作曲家も存在するし,それは現代のウィリアム・ウォルトン(1902-83)やマルコム・アーノルド(1921-2006)に系譜的に繋がると言っても良いだろう。 


勿論,エルガーの代表作である戴冠式行進曲「威風堂々」やホルストの組曲「惑星」のような大規模な管弦楽作品も少なからず存在するのだが,不思議と小編成のオーケストラや弦楽合奏といった演奏様式をとる曲が多いことも特徴的である・・・。
疲れたときに,「惑星」の第一曲である「火星」の4/5拍子の不安定なリズムと攻撃的な旋律を聴きたいとは思わないし,景気の良い曲を聴いても耳に刺さるだけだ。
その点,同じホルストの手になる「セントポール組曲」なんてのは,心地よい弦楽合奏だし,エルガーの弦楽セレナーデも同様。
WWIのソンムの戦いにて若い命を散らしたバタワースによる「青柳の堤」は,英国では珍しいよく晴れた日のウェールズやヨークシャーの川岸にトリップできるし(勿論,実際に行ったこと無いが),謎の死を遂げたウォーロックの「カプリオル組曲」は実に典雅だ。
・・・で,その中から今日は,エルガーによる「Sospili」を紹介。
ソスピリとは溜息のことであり,まさに今の私の心境と精神状態に相応しい・・・。
何ともやるせない楽曲ではあるが,これがまたとびきり美しいのである・・・。
疲れた心と体に染み渡ること請け合いである・・・。

http://www.youtube.com/watch?v=YI1I1EHSVhA

昨日,mixiとFacebookでは紹介したが,せっかくなのでこちらでも・・・。

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2013/04/19 22:37
詩蘭さん,今晩は。
そうそう,ダウランドが居りましたね。
プリンスがダウランドのアルバムを出していましたっけ・・・。
ついでに,20世紀の作曲家として,ベンジャミン・ブリトゥンを失念しておりました。
パーセルの主題による変奏曲とフーガは名曲でございます・・・。

考えてみたら,ターナー以外思いつく美術関係も無く,確かに前期ロマン主義芸術は,英国とは無縁なのか・・・と思ってしまいます。
産業革命の時代,人々は芸術どころではなかったのでしょうかね・・・。
ブリティッシュ・ロックは,ビートルズやクィーンを別格とすると,とにかくいろいろとありますね。
U2とか聴いた時代もありましたね・・・(遠い目)

エルガーは良いです。
第2交響曲やエニグマバリエーション,チェロ協奏曲等・・・
このソスピリは,現世に立ち返りますね。
なればこそ,魅力的なのですが・・・。
「マ・メール・ロワ」も勿論,別次元で美しいのですけど・・・。
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2013/04/19 00:28
イギリスは、文化史的には不思議な存在ですね。
パーセルやダウランドら、シェイクスピアなどと共に、イギリス・ルネサンスの華だけれど、
近代音楽では表舞台に出てくる名は、ほとんどなく、
後期ロマン主義でやっとこの三人が出てくる。
(美術でも、ターナーがシェイクスピア・レベルの大巨匠である以外は、
コンスタブルを筆頭にしてもどこか一級半のような名が並ぶし…)。
ようやく ビートルズ以後の世俗音楽全盛時代になって、世界の中心になる…。。

ソスピリ……ラヴェルのマ・メール・ロワが幻想空間に誘って癒してくれる(アチラで拝見しました^^)のに対して、
こちらは、世俗の感情のままに、心を和ませてくれる、、それこそイギリス的美学なのでしょうか。。。




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