Nicotto Town


koshiのお部屋分家


St Paul's Suite

こちらでお世話になっているうさりん♪さんに,完全に触発されまして,エントリします・・・。



この曲を知って随分なる。
多分,就職に失敗して浪々の身となって,それまでの学生時代と違って,時間だけはふんだんにあった20代前半,とち狂ったようにボーダーレスで片っ端から本を読みまくり,音楽を聴き漁った時代以来だろう。
昨今の英国フリークは,こと音楽に関してはもう中毒状態で,20世紀前半以降の英国音楽をとにかくいろいろと聴いている。
元々,儚げな曲想の中にデリケートなロマンを感じるディーリアスや,素朴で美しい英国民謡を多く採譜して,それを霊元感としたヴォーン=ウィリアムスは好むところであり,現代の作曲家だと,シェイクスピアものや私の好きな戦争映画の劇伴を多く残したウォルトンやアーノルドといった作曲家たちの,クラシカルにして斬新な作風には大いに惹かれてはいたのだが,欧州で最初に足跡をしるした国ということもあって,サッカーもF1も音楽も,ラテンよりゲルマンかアングロサクソン・・・という図式が完全に出来上がるに至ったのは,ここ10数年のことである。


近現代の英国音楽は,実に幅が広い。
不協和音を多用し,トーンクラスターのような斬新なものもあるし,有名なホルストの組曲「惑星」やウォルトンの「ベルシャザールの饗宴」のように,大編成のオーケストラ+大合唱のようなものから,小編成の室内オーケストラで演奏可能なものや,私と最も接点のない楽器である弦楽による合奏曲まで,とにかくそのバリエーションの豊富であることは,枚挙に遑がない。
その中で今回紹介するのは,上記「惑星」の作曲者であるグスターヴ・ホルスト(1874-1934)の手になる「セントポール組曲」である。


ホルストは,1905年以降,終生セントポール女学校の音楽教師の職にあった。
そこの弦楽合奏団の為に作曲されたのが当曲であり,4つの短い楽章から構成され,演奏時間は10分ちょっとの短い曲である。
どうやら木管楽器を加えたバージョンも存在するらしい・・・。
第1楽章ジーグ,第2楽章オスティナート,第3楽章間奏曲(舞曲とも),第4楽章終曲。
第4楽章は,吹奏楽のための組曲第2番の終章「ダーガソンの幻想」からの転用で,有名な英国民謡グリーンスリーブスの断片が引用されている。
古風にして典雅でありながら,晴れ渡ることの少ない英国の鉛色の空を思わせるようなくすんだ味わいもある名曲で,決して絶叫したり声高に語ったりするところが無い故に,疲れた時に聴くには絶妙な,癒しの名曲でもあると思う・・・。


動画を漁ったのだが,音だけのものだと一気に全曲を聴くことができる(作業の背後で鳴らすのに最適だろう)。
http://www.youtube.com/watch?v=_wnk5a9Zfyc
で,演奏風景のものでは,何と英国系ではなく,ロシアのノヴォシビルスクのオケの演奏が存外に良かった。
4つの楽章別なのが,便利と言えば便利だし,面倒と言えば面倒なのだが・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=Crs1-7DVvrw
http://www.youtube.com/watch?v=hH42Biono6U
http://www.youtube.com/watch?v=XazbSPIYNIw
http://www.youtube.com/watch?v=dQevo7M4gm8


因みに,ロンドンの中心であるテームズ川畔の所謂「シティ」には,セントポール大聖堂が格調高く聳えているが,ホルストが奉職した女学校はその傍らに有ったのだろうか・・・。
私のほんの数日の英京滞在期間,リージェンドストリートやハマースミスの街と共に,最も気に入った界隈であるだけに,いろいろと想像を巡らせてしまう。
クロイドンやバービカンセンターで,「スターウォーズ」や「ライトスタッフ」,「ブレイブハート」等の劇伴をしたロンドン交響楽団を聴いてみたいし,「ブラス!」の舞台ともなった(正直言って,特に感動的な映画とは思わなかったが)ロイヤル・アルバートホールで,9月のプロムス(ヘンリー・ウッド・プロムナード)でBBC交響楽団も聴いて,特に最終夜にどんちゃん騒ぎに混ざりたいものだ・・・。
そうそう,帝国戦争博物館で,スピットファイアは勿論,V1号やMe262も見てみたい・・・。

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2013/05/09 00:37
勉強になりました〜。
動画は明日ゆっくりと〜。




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