「街道をゆく」・・・
- カテゴリ:その他
- 2013/09/01 20:05:33
昨日午前中,(多分)若干の酒が残る中,週末の専らの過ごし方である読書に勤しみました。20代の頃は,完全に活字中毒でして,現在読みかけている本が無いと落ち着かなかったものです。
殊に,就職に失敗した20代前半は,部活動に明け暮れてなかなか時間が取れなかった学生時代とは裏腹に,有り余る時間を目の前に提示され,就職活動の間隙を縫って,狂ったようにボーダーレスで本を読み,音楽を聴きまくりました。
「こころ」と「それから」以外の漱石を読んだのもこの時代でしたし,武者小路の「愛と死」をかったるく思いながら読破したのも,同様でした。
スタインベックやヘミングウェイといった近代米文学,さらにはバイロンやリルケのような詩集にも手を出しました。
その傍ら,国民文学の代表とも言うべき吉川英治の大作にも手を出して,「平家」や「太平記」の世界にもどっぷり浸りました・・・。
そうは言っても,10代から愛読していた司馬遼太郎の作品には益々傾倒し,来年の大河ドラマの原作らしい「播磨灘物語」読んだのも,20代前半でした。
96年に訃報を聞いたときは,とにかく驚くとともに,もう筆致が冴え渡る作品群には出遭うことができないのか・・・と,嘆いたものです・・・(尤も,最後の20年近くは,文明論者のような著作が多く,小説は殆ど書かなかったようですが・・・)。
でもって,今回読んだのは,ライフワークとも言うべき「街道をゆく」でした。
確か,完結しなかったと記憶しているのですが,私が読んだのは24巻の「近江路・大和路」でした。
いずれも,歴史の表舞台となった地域だけに,読み応えがありました。
特に,前半の近江路は,壬申の乱に始まり,源平や南北朝の抗争,そして姉川の戦いや関ヶ原まで,我が国の中央とも言うべき近江平野が戦乱の舞台となったことや,近江商人の発祥の地であることが,詳しく語られていました。
勿論,石田三成の佐和山城を廃城として,井伊氏が彦根城を築城したくだりや,前後しますが,羽柴秀次が安土城の隣の近江八幡に築城し,与力として山内一豊が長浜城を預かっていたことも,語られていました。
「大和路」に関しては,多武峰に始まり,東大寺二月堂界隈の素晴らしさ(全くをもって同感),阿修羅像のアルカイックな美しさの秘密,明治以降の廃仏毀釈の際に,興福寺が廃寺の危機に瀕していたこと等,実に興味深く読むことができました。
こうした紀行文を読む際に不可欠なのは,何と言っても地図です。
かつては,1/25,000の地形図が無い場合は,地方別の道路地図帳を繙いていたのですが,今はネットの地図があります。
スクロール機能で部分拡大が可能なので,ある程度の大字・小字(おおあざ・こあざ)は,何とか見つけることができます・・・。
・・・ということで,今夏はごたごたしていて何処にも出掛けられなかったので,こういうものを読むことでお茶を濁しています。
冬に,何とかまとまった休みを取って,遠出をしてみたいものです・・・。