Nicotto Town


koshiのお部屋分家


關西紀行,其之九:大宮人の夢の跡・・・

用を足して,龍安寺を後にする。
この後,どうしようか思案したが,取り敢えず復興なった嵐山へ行くことにした。
4年ぶりに足跡を印すと共に,今後の為にも及ばずながら消費して・・・と思ったからだ。
夕食は,四条河原町で・・・と,決めていたので,バスのフリー乗車券の元は取ったし,嵐電北野線初乗りも良いか・・・ということになった。
等持院駅か龍安寺駅か,いずれかを目指すことになったが,等持院の西側を歩いているうちに,成り行きで等持院駅になった。
実に惜しいことに,完乗にあと一駅ということになってしまったが,やむを得ない。
四条大宮-嵐山間は,高校の修学旅行で乗っていたので,北野線を1区間乗り残したのは痛いが・・・。


周囲は,上品なコンクリート造りの瀟洒な建物が建ち並ぶ。
西園寺公望が創始者である関西の名門,立命館大学である。
上記修学旅行の際,多分龍安寺と金閣を見た後,ガイドさんから紹介されたことを思い出した。
「ぜひ京都の名門と言われる大学で,学生生活を過ごすのも宜しいのではないでしょうか」と言われ,国文学とか哲学,史学や地理といった人文科学系の学科だったら,京都で青春時代を過ごすなんて,何と理想的な・・・と思ったものだった。
残念ながら,学力不足で翌々年の受験には失敗してしまい(勿論立命館は受けていない),2年半の後に地元で進学することになってしまったが・・・。
故に,高校生の息子に,
「県外の私立は(経済的に)無理だと言ったが,ここと同志社だったら金出してやるぞ」
と,言ってしまった。
ま,私同様,その心配は無いに等しいが・・・。
因みに,立命館大の卒業生で私が真っ先に頭に浮かぶのは,元ヤクルトの古田敦也である・・・。
立命館大のキャンパスを過ぎると,等持院西町になる。
等持院駅はすぐだったが,近辺は何とも昭和を感じさせる街並みとなったことが,妙に嬉しかった。
特に,現在は営業している様子はなかったが,等持院駅北側角のたばこ屋が,何とも言えぬ昭和の情緒を醸し出していた。
但し,消防法や建築基準法に触れないか心配ではあるが・・・。


等持院駅にて,電車を待つ。
北山とはいえ街中なので,便は良いようで,幾らも待たずに上下線とも来た。
いや,こうした私鉄の単行は本当に良い。
京都市電が無くなって37年経つが(仙台市電の翌年だった),古都に似合うのは,やはり1両のみの電車だ・・・。
さして混んでも居ないし,帷子ノ辻(かたびらのつじ)駅まで6駅,古都の情趣は,こうしたところでも味わうことができるのである。
帷子ノ辻で,嵐山線に乗り換える。
帷子にしても辻にしても,何とも京都らしい駅名だが,勿論謂われがある。
今回は割愛するが(暴走どころでは済まなくなる),宜しからぬ内容とだけは伝えておこう・・・。
嵐山本線に乗り換えると,5つめが終点の嵐山駅だ。
この嵐山駅が何とも素晴らしかった。
こちらの嵐電(京福電鉄)のトップページをご覧いただければ分かるのだが,キモノフォレストと呼ばれる光林が,ホームで降車客を出迎える。http://randen.keifuku.co.jp/
何とも雅やかな心憎い演出である。
ホームのみならず,嵐山駅門前も同様に美しい。
単行の電車に乗ったことも収穫だったが,嵐電嵐山駅の見事さが,もしかすると嵐電最大の収穫だったかも知れない・・・。


かつての若かった(何せ16歳だった)私もここに足跡を印し,野郎5人と嵯峨野の寺巡りをした。
修学旅行の実質的最終日,自主研修でのことである。
旅慣れたやつが1人居て,イニシアティブを取って決めた旅程だが,京都が初めての私は,旅行社から渡された地図を見て,付いていくのが精一杯だった。
大河内山荘近くの竹林を抜け,小倉の池から落柿舎を経て,嵯峨駅に至る呆気ない行程で,天竜寺も妓王寺も見ないというコースで,実にもったいない感があったが(鉄分が強い輩が多く,梅小路蒸気機関車館でC62を見た-スワローマークは後付け),その反省を受けて,再び私がここに戻って嵯峨の巡りを敢行したのは,そこから3年半の後だった・・・。天龍寺に始まり,二尊院,妓王寺,滝口寺,化野念仏寺,直指庵,大覚寺(大沢池),広沢池という強行軍だったが,フットワークの軽い1人なればこそできた技だろう・・・。


天龍寺を見せたかったが,時間的に4時半近かったので諦めて,渡月橋を渡る。
人混みは嫌いだが,嵐山の賑わいを見ると,その活気が妙に嬉しい。
9月に大堰川が氾濫し,この辺りは皆冠水した筈だが,あっという間に復興した。
一週間後には,観光客を受け入れていたというから,関西人のポジティブな考え方には脱帽の思いだ。
大堰川の川面に,河畔の集落の灯が映え,何とも言えぬ風情だ。
三条大橋から見る先斗町や木屋町方面の賑わいも京都らしいが,初めて見る夕刻の渡月橋と大堰川,そして嵐山の灯も格別であった・・・。
一昨年訪れた宇治もそうだったが,嵯峨嵐山も又大宮人たちの別荘地であった。
法成寺入道前関白太政大臣(藤原道長)が,大堰川に舟を浮かべて,管弦を楽しんだのは,栄華物語だったか大鏡だったか・・・。
確か「大井川の舟遊び」(原文のママ)という題名で,高校の古文の教科書に載っていた。


ひととせ,入道殿の大井川に逍遥せさせ給ひしに,作文の舟・管弦の舟・和歌の舟と分かたせ給ひて,その道にたへたる人々を乗せさせ給ひしに,この大納言の参り給へるを,入道殿,
「かの大納言、いづれの舟にか乗らるべき。」
とのたまはすれば,
「和歌の舟に乗り侍らむ。」
とのたまひて,よみ給へるぞかし。
小倉山嵐の風の寒ければ紅葉の錦着ぬ人ぞなき申し受け給へるかひありて,あそばしたりな。(「大鏡」より三舟の才)


というのもあり,悲しいことに,入試問題で解いた・・・。
日はとっぷりと暮れた刻限,大堰川,否,渡月橋より下流だから桂川の瀬音を耳に,一路阪急の嵐山駅を目指す。
周囲は,私には全く縁の無かった高級な温泉旅荘と高級マンション。
そして,関西で一番おしゃれな私鉄と言われる阪急電車。
桂で乗り換えて,四条河原町に向かう阪急の車両は,クロスシートの立派なものだった・・・。


(ようやく第1日目が終了。この後は,四条河原町で飲んで食事をしてホテルに帰りました。何を食したかは,いずれ紹介したいと思います・・・。)

今回も画像は多いです。宜しかったらどうぞ・・・。
             ↓
http://blog.goo.ne.jp/fw14b_2005/e/ae61e1d40358c4484ef3b070eacbcaf8

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2014/01/25 16:45
サモワール卿,今晩は。
夏の京都の暑さは,半端じゃないですね。
私も2度ほど行っていますが,辟易した記憶があります。
フローズンビール・・・一番搾りでしょうか・・・??
だとしたら,あの泡のシャーベットなんか,瞬時に溶けそうですね・・・。

嵐電でライブという発想が面白いですね。
演奏はし難いでしょうけど・・・。
時雨殿,行ってみたいと思ったのですが,しょぼいのですね。

同志社が御所の北側というのは知っていましたが,立命は府立医大のところだったんですね。
同大からも近いし,出町柳駅から川をわたってすぐですね。
あの界隈は,なかなか縁がないですね・・・。
土居の後をストリートビューで追ってみましたが,見つけられませんでした・・・。
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2014/01/20 10:42
京都に住んでるとなかなか嵐山って行かないもんですが、昨夏に珍しく2回も行きました。

一回目は嵐山に”行った”というより”着いた”感じ。
西院でロック・フェスがあり、嵐電車内でもライブがあったのでそのまま嵐山まで。
その折には日除け効果しかない噎せ返るような8月の嵐山駅構内でフローズン・ビールを飲みましたが、あの暑さではフローズンも何もあったもんじゃない。ただただ暑さしか記憶にありませんw

2回目は日記にも挙げましたが、小倉百人一首専門の「時雨殿」へ。時雨殿があまりにしょぼかったため、天竜寺へ移動したんですが、これまたうだるような西日が照りつける中だったので、途中でギブ。気候が良くなったら再訪しようと友人と言っている内に、あの洪水被害に。

西園寺さんの学校は、元は寺町広小路、京都御苑の東側、今の京都府立医科大学の場所にあったそうです。なんせ元が現在の京都御苑内にあった西園寺家邸内に創設されたのが起源だそうですからね。府立医科大学ですが、河原町通側の正門の脇にはお土居の跡が残っていて植え込みになってます。
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2014/01/19 16:18
詩蘭さん,今晩は。
私は高校時代,部活動に熱中して,受験勉強に本腰を入れたのは9月(部活引退時)だったので,受験は失敗しました。
立命や同志社なんて夢の又夢でして,一浪して地元に進学するのが精一杯でした。

大手予備校の塾講師をされたとは凄いですね。
仰るとおり,いづれの舟に乗らるべき・・・ということでしょう。
当時の私は,今の職業に就いていることなど,全く想像だにしなかったですし・・・。
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2014/01/15 23:17
これだけの立派なブログ書けるお方なら 立命行けましたがな~www
古文も日本史も詩蘭よりずっとレベル高そうだし~…;;

って、詩蘭など受験時代に評論書き始めちゃったせいで、大学行きそこなったまま
学者たちと競争する世界に入っちゃってw後々(今も)タイヘンでしたw^^;
途中では何の因果か、立命や同志社志望クラスの国語を予備校で教えたりw
人の道は いづれの舟に乗らるべき…いずれ謎だらけですね





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