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Lied ohne Worte ・・・

昨日の全日本女子フィギュアSP,今井遥選手の嫋やかな演技に感じ入って,そのプログラムで使用したそのものを貼ります。


メンデルスゾーン作曲,無言歌ニ長調op.109。
モーツァルトやベートーヴェンが,不幸な生涯を送った典型とすると,このメンデルスゾーンなどは,まさにその正反対で,絵に描いたような幸福な生涯を送った典型ということらなるのかもしれません。
富裕なユダヤ人の銀行家の家庭に生まれ,早熟の天才として頭角を現し,数々の名曲を世に問うと共に,バッハの「マタイ受難曲」蘇演,ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団創設,職業的指揮者の草分け・・・等々,音楽史上の功績も甚大です。
唯一の不幸は,30代後半で生涯を終えたことでしょう。
富にも名誉にも女性にも恵まれたメンデルスゾーンですから,その音楽はあくまでも上品にして典雅な趣に富んでおり,激高したり絶叫したりするような部分は,見あたりません・・・。

メンデルスゾーンには,ピアノ独奏の為の「無言歌集」なる楽曲がありますが,この遺作の1つでもあるニ長調の曲は,チェロとピアノの為に書かれました。
作曲されたのは1845年。
亡くなる前々年,フランスの女流チェリスト,リザ・バルビエ・クリスティアーニ(1827-1853)の為に作曲され,彼女に献呈されました。
リザ・バルビエ・クリスティアーニは,残念ながら伝染病に罹患して,ロシアへの演奏旅行中に亡くなりましたが,音楽性も容姿も魅力的な女性だったのでしょう・・・。


弦楽器が最も美しく鳴ると言われるニ長調。
上品,高雅,嫋々,伸びやか,明朗・・・といったメンデルスゾーンの天衣無縫な音楽性が,如実に表れています。
静かに耳を傾けるにはうってつけ・・・というか,私などは,ついつい過ぎ去りし日々を追想してしまいます・・・。

http://www.youtube.com/watch?v=GXGFVWqPGu0


演奏は,多発性硬化症なる難病のために,若くして演奏家としての道を断たれ,夭折した女流チェリスト,ジャクリーヌ・ドュ・プレと,ハンガリーの俊英ミクローシュ・ペレーニ(私が初めて聴いたドヴォルザークの協奏曲は,ペレーニの独奏でした)の演奏がありましたが,敢えて若手による演奏を・・・。
季節が合いませんが,これ聴くと,よく晴れた春の野に天高く雲雀が鳴いて・・・(「おお雲雀」などという歌曲も,メンデルスゾーンか)という光景が想起されます・・・。

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2013/12/24 23:32
今井遥選手にはもう少し伸びて欲しいと期待しているのですが。。。




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